
前作と違い、今回はインスト・メイン。話題性って事で言えば、やはりFAT JONがフルートで参加した”THE BLACK BRIGADE OF CINCINATTI (OUTCOME)”が一番だろう。ド渋なピアノ・ループが、FAT JONが演奏する流れるようなフルートの音色を際立たせる極上のインストゥルメンタルに仕上がっている。以降も、ストリングス・サンプルをフリップした”THE ART OF WAR”のようなシンプルなモノから、メロデアスな前半から一転、躍動感溢れる中盤以降への展開がドープな”SIXTY-THREE IS THE JUBILEE”や、レイドバックしたフュージョンなループがゆったりと漂う中を、荒々しいドラムスとギターがアクセントを付ける”FEBRUARY 14, 1929″のようなモノまで、素朴ながら実に多弁なインストゥルメンタルが並ぶ。インタールード的な小品も良いし、J. RAWLSらしさみたいなモノは”AMERICA, FULFILL YOUR PROMISE”に、数々のヴォーカル・サンプルが象徴する政治的なメッセージは”WELCOME TO NORTH AFRICA”に、それぞれ集約される。
2曲あるヴォーカル・トラックのうち、BJ DIGBYなるMCによる”HARD ROCK”は妖艶なトラックがドープだが、R& BグループTAVARISがコーラスを聴かせる”FUTURE”は、今一つミス・マッチだったように思う。唯一の捨て曲。
地元の小学校の教師も勤めているというJ. RAWLS、なんとも暖かいアルバムになっているのはそのせいだろうか。彼の持ち味が十二分に発揮された、充実したアルバムである。