JEAN GRAE “ATTACK OF THE ATTACKING THINGS”

待ちに待ったデビュー・アルバムだ。色々な客演で名を馳せてきた彼女だが、やっぱりMR LENのアルバムは衝撃的と言っても良いほど凄かった。このアルバムで、彼女にはもう”WHAT WHAT改め…”なんて冠は必要なくなるだろう。

そのMR LENのアルバムの中でも際立っていた”TACO DAY”にて披露されたJEAN GRAEの類稀なストーリーテリングのスキルにやられまくった者としては、やはり”LOVE SONG”に耳奪われる。愛に恵まれない様々な女性の物語が、DA BEATMINERZのソウルフルなトラックと共に語られる傑作だ。男の視点からライムする”GODS GIFT”、世界中を旅して見聞を広めろという”BLOCK PARTY”などを聴くにつれ、彼女は間違いなく現在のベスト・リリシストの一人だと確信させられた。独創的で幅広いトピック、冷静な語り口。逝ってしまった愛する者への思いを語った”FADEOUT”は、2分もないが最高に良い後味を残してくれる。このトラック!!

プロダクション面では、NASAIN NAHMEENなる人物が印象的な仕事を残している。美しい”BLOCK PARTY”、メランコリックな”NO DOUBT”、ファンキーこの上ない”THANK YA!”や”GET IT”など、素晴らしい。他にも、MASTA ACEによるヘッドバンギン・チューン”GODS GIFT”から、ベースラインも滑らかなMR LENの”WHAT WOULD I DO”、前述の”LOVE SONG”まで、隙がない。

アルバム全体で43分と短いが、駄曲は一切ナシ。たっぷり中身の詰まったアルバムだ。95年のアルバム、と言われても違和感のなさそうなプロダクションも最高だけど、何と言ってもJEAN GRAEの優れたリリカル・スキルに尽きるアルバムだ。