JEAN GRAE “THE BOOTLEG OF THE BOOTLEG EP”

セカンド・アルバムに先駆けてのミニ・アルバム。タイトルに”BOOTLEG”とあるが、ちゃんとしたプロフェッショナル・プレスである。

まず、”TAKE ME”が素晴らしい。ソウルフルなトラック上で、自殺願望に取り付かれた女性が信仰との間で揺れ動く様を一人称で描くという、”TACO DAY”路線のいかにもJEAN GRAEといった楽曲だ。夫と子供を誘拐されたJEAN GRAE扮する女殺し屋の物語”CHAPTER ONE : DESTINY”も面白い。物語は完結せず、曲の最後ではセカンド・アルバムに収録されると思われる続編への布石が盛り込まれ、しかも分岐する物語によって2つの結末が用意されているという。この辺の手の込みようは、正にJEAN GRAEの真骨頂といった所。

CANNIBAL OXとの”SWING BLADES”、彼女が属するクルーBROOKLYN ACADEMYの面々とのマイクリレー”CODE RED”は期待外れだったが、MURSなどとの仕事で知られるBELIEFが硬質なビートを用意した”HATER’S ANTHEM”、ヒップホップの現状を何時になく激しい口調で攻撃する”MY CREW”などは流石に余裕のクオリティ。

6曲中4曲が当たりという事で、ミニ・アルバムとしては合格点。なんにせよ、セカンド・アルバムを一刻も早く聴きたくなる出来だ。隠しトラックとして、本編よりも長い約40分に及ぶフリースタイルが収められているのもポイント高い。