KAM “NEVA AGAIN”

ソロ活動を軌道に乗せたICE CUBEが最初に力を入れたのが、新人の発掘だった。YO YOやDA LENCH MOBなど、彼のクルーは当時一大勢力を築きつつあったが、このKAMもその中の一人。デビュー・アルバム。

曲名を見るだけでも明らかなようにどれも所謂コンシャスな内容だが、ICE CUBE一派だけあって、ストリートからの意見といった感じ。ICE CUBEのコンシャスな部分を取り出したようなMCだ。MCとして決してテクニカルではないKAMだが、彼の渋い声と重たいデリヴァリーはメッセージに説得力を持たせていると思うが。暴動後のロスを描く”PEACE TREATY”と御代ICE CUBEを迎えた”WATTS RIOT”まで、ネイション・オブ・イスラムの彼らしいプロ・ブラックなリリックが光っている。

KAMのへヴィーなライムに合わせるように、プロデューサー陣もへヴィー・ファンクを取り揃えている。P-ファンクモロ使いが殆どだが、プロ・ブラックなアルバム・コンセプトと相まって、まるで70年代初頭のアルバムのような雰囲気だ。余裕の高水準。DAS EFXのプロデュースで知られるCHRIS CHARITY & DEREK LYNCHが頑張っていて、”PEACE TREATY”などは最高だ。

結構似たような曲が多いので飽きるのも早い気もするが、ふと思い出して久しぶりに聴いたりすると異様にドープだったりする、そんなアルバムの典型かな。そう言えば、2002年現在、こういうMCって全くと言って良いほどいなくなった気がする。