KAY THE AQUANAUT “DEEP ROOTED”

FACTORのアルバムにもフィーチャーされていたカナディアンMC、KAY THE AQUANAUTのデビュー・アルバム。

甲高い声でメロディックにラップするKAY THE AQUANAUTは、スキル的にはまだまだ荒削りだが、大層な言葉を使わずに地に足の着いた人生観を表現していて、好感が持てる。人生を2車線のフリーウェイに例えた”DOUBLE LANE HIGHWAY”と、一夏のほろ苦い恋を描写する”THOUGHTS BY THE PIER”の2曲が、トラックも含めて気に入った。

このアルバムが魅力的に響くのには、牧歌的かつ叙情的なFACTORのプロダクションが果たす役割が大きいだろう。生楽器を多用したプロダクションはどれも暖かみに満ちていて、ホーンが心地良い”THOUGHTS BY THE PIER”にその魅力が凝縮されている。

際立ったところのないアルバムなのだが、通してスラっと聴けてしまう愛すべきB級作品。こういうアルバムは聴く時の気分によって聴こえ方がだいぶ違うものだ。