KOOL G RAP “4, 5, 6″

4枚目にして初のKOOL G RAPソロ名義のアルバムだが、実質的にはDJ POLOは殆ど何もしてなかった訳で。落ち着くトコに落ち着いた、という感じかな。

濃厚だった前作と比べて、随分とスッキリとしたアルバムだ。リリック面で、かなり大人になった感がある。”IT’S A SHAME”はクライム・ライフの空虚さを感じさせるのを始め、若くしてストリートに散った仲間達への鎮魂歌”FOR DA BROTHAZ”、幼少期から自らの歴史を振り返る”BLOWIN’ UP IN THE WORLD”などは、非常に味わい深い。”TAKE ‘EM TO WAR”や”EXCUTIONER STYLE”は、これまでどうりのG RAP。ヴァイオレントだ。新旧クイーンズ・リリシスト待望の共演”FAST LIFE”はタイトだが、個人的にはもっと緊張感のあるトラックで聴きたかったかな。

今回のプロダクションはニューヨークの若手が担当。NAUGHTY SHORTSの”IT’S A SHAME”、T-RAYによる”FOR DA BROTHAZ”など、ライム同様味わい深いトラックが際立っている。

前作のような驚異的なストーリーテリングが鳴りを潜めている点は少し残念だが、綺麗にまとまった好アルバムだ。全体を覆うハードボイルドな雰囲気は、NAS”ILLMATIC”やMOBB DEEPの諸作品を思い起こさせる。これがクイーンズ・フレイヴァーなのだろうか。