L DA HEAD TOUCHA “DESTINED FOR GREATNESS”

L DA HEAD TOUCHAがアルバムを出した、というだけである意味事件だ。マサチューセッツ出身のこのソロイストの名前は、普段からアナログを漁っているタイプの人間にはお馴染みの名前だろう。遅すぎるデビュー・アルバム。

L DA HEAD TOUCHAといえば、やはりデビュー・シングル”TOO COMPLEX”に尽きるだろう。確かなビートとライム運びが印象的なこの佳曲は、正当派リリシストとして彼の名をヘッズの脳裏に刻むのに貢献した。プロダクションは、全体的に彼の落ち着いたデリバリーを活かしたソウルフルなモノで統一されている。ソウル・ネタ45回転使いも多くあって、いかにもKANYE WEST以降を意識した感じではあるが、彼のデリバリーに良くマッチしているし、質も高いので特に文句はないかな。地元賛歌であったり、両親についてであったり、ストリートでの葛藤であったり、総じて自伝的なライムの内容も自然で好感が持てる。ただ、”REP THAT”のようなアッパーなシンセ・ビートにパーティー・ライム・スタイルは、アルバムの流れからも彼のキャラクターからもかけ離れたモノで、明らかに蛇足だろう。

プロダクション的には、”EVOLUTION”から”SUNSHINE”へと続く辺りがハイライト。全てSOUL SUPREMEによるモノで、個性こそ感じないものの、暖かいループはL DA HEAD TOUCHAの魅力を上手く引き出している。同じくSOUL SUPREMEによる”FOOD 4 THOUGHT”しかり、いかにもKANYE WEST以降なプロダクションだ。SKIも、派手すぎず地味すぎないラテン調の”IT HURTS”で健在振りを聴かせてくれる。

あまりに予想通りなアルバムに仕上がっている点や、殆ど同じテンションが80分近く続くために後半結構ダレる(ラスト近くに”TOO COMPLEX”が来る事で若干救われてはいる)辺りはマイナスかもしれないが、それも些細な問題だろう。正にL DA HEAD TOUCHAここにあり、といった感じだ。明らかに出遅れた感はあるけど。