LAB WASTE “ZWARTE ACHREGROND”

アングラヒップホップを親父の頭に例えれば、『革新性』という名の頭髪はことごとく抜け落ちて、禿げ上がること甚だしい昨今である。こんな状況下であるから、アンチコンという残った毛髪を褒め称える一部のキッズを除けば、別人の頭にでも目移りしてしまう人多数なのもしょうがない。

話が変わるが、このTHAVIUS BECKとSUBTITLEのチームLAB WASTE、私は2005年のアングラ革マル派ユニットだったような気がしていたのである。というのも、2005年はDOSEの”HA”やAPSCIのTHANKS FOR ASKING” を想起、ひいてはANTI POPをはじめとするエレクトロニカヒップホップの残党かとも思わせるアグレッシブなスタイルは、更にMESSY MARVやTHREE 6 MAFIA、M.I.Aまでも髣髴とさせる雑食性をも忍ばせ、結果的にできあがったものは「アングラとメインストリームの折衷型」という、まぁともかく何がなんだかよくわからない作品なのである。しかし、同じく「折衷型」の作品の生産する人物として圧倒的な安定度を誇るMCENROEよりも、更に良い位置に落とし込まれている作品なのだから侮れない。(MCENROEからは、必死にアングラのビートに「ティンバっぽさ」をつなげとめようと創意工夫を図る努力の姿勢が伺えるけど、LAB WASTEは、何でもかんでも好きなものを放り込んでみたら全部の味が偶然絶妙に醸し出された感じというか…)

そして、その予想外の完成度に加えて、「全てイミテーションである」という事実に、「これがブレイクしたならば、現在のヒップホップの勢力図さえも変わるのでは?」などと大げさに驚いてもみたのだけど、しかしやはり、上段一行目に書いたとおり結果的には単なる「気のせい」に過ぎなかった。親父の禿げ頭にピッタリな、この精巧な『イミテーション』に注意を向ける人は意外に少なかったのである。

(微熱王子)