LIVING LEGENDS “ALMOST FAMOUS”

LIVING LEGENDSのアルバム。これ以上、言うことはない。驚異的なスキルとリリース量で、文字通り生きる伝説となったASOP、LUCKYIAM PSC、SUNSPOT JONZ、ELIGH、GROUCH、MURS、SCARUB、BICASSO、そしてARATA。これまでのモノはコンピレーション的性質が強かったので、これが正式なクルー・アルバムと言って良いと思う。

「俺らが全員集まってアルバム作ったら、お前はどうする?」という”GOTTA QUESTION FOR YA”は、彼らの高らかな声明だ。記念すべきアルバムのファースト・ヴァースを任せられたのは勿論、LEGENDSの顔MURS。ELIGHの「俺はマイクと結婚した」という一節に彼らの主張が集約されている。ミネアポリスの伝説SLUGが加わった”NIGHT PROWLER”も強力だ。SLUGは当然ドープだが、個人的なハイライトは2番手を務めるSUNSPOT。巧みなワードプレイ。ジャジーな”THAT LOOKS GOOD”は、何と言ってもELIGHのトラックが素晴らしい。ELIGHとSCARUBのポエティックなライムが炸裂する”BLACK GLASS”もドープ。SUNSPOTによる呟くようなフックも良い。ベストトラックは、タイトル通り”WHITE RABBIT”を大胆に使った”RABBIT HOLE”。SCARUBのコンシャスなライムが個人的にはハイライトだが、全員が勢いのあるELIGH作のトラックで驚異的なフロウを聴かせてくれる。

幻想的な”COMMON GROUND”は、GROUCHのプロダクション・スキルの高さの証明。ギター・サンプル、タイトなドラム。BICASSOによるサビが味わい深い。”GIFT WRAP”は、ヒップホップ好きの気持ちを代弁してくれるパーティーチューン。MURSは相変わらずナスティだ。最もタイトなマイクリレーが聴けるのは、スムースなトラックが心地良い”FORCES OF NATURE”。次々とマイクをパスしてゆく様は、正に圧巻だ。”OSAKA TALES”では、ARATAの関西弁ラップが聴けるし、”SOAP BOX’N”では、DJ DREZのドープなコスリを堪能できる。ラストを締めくくる”NOTHING LESS”のメロウなヴァイヴが、爽やかな後味を残す。

何曲かアヴェレージな曲があるのが勿体無いが、それでも強力なアルバムだ。やはり、ただでさえ個性的なメンツが一堂に会すると、何とも言えないモノがある。サウンド・クオリティもバッチリ。作品数がやたら多い彼ら、何処から手をつけて良いか分からず困っていると言う人は、まずこのアルバムをお勧めしたい。伝説はまだまだ始まったばかり、今なら間に合う。