MAC LETHAL “MEN ARE FROM MARS, PORN STARS ARE FROM EARTH”

2001年スクリブル・ジャム・MCバトルでのタイトなパンチラインの数々で名を上げたMAC LETHAL、真価を問われるデビュー・アルバムをリリース。オーソドックスなフロウで確実にライムしてゆくカンザスのMCだ。

MAC LETHALは、スクリブル・ジャムでも観客を沸かせていたパンチ・ラインを求めるリスナーから、コンセプチュアルなリリカル・スキルを求める者までを満足させてくれる。パンチラインで言えば、”MY FAVORITE SCREAMS”や”THE M.A.D.”、”CLUB BAMBOO”がお勧めだ。ユーモアを求める向きには、バウンスモノ”MY MOM IZZA THUG”が期待に応えてくれる。サグド・アウトした母親に関してライム(くだらないです)、中盤ビートが変化する辺りもドープだ。もうチョット感情を揺さぶられるライムを求めるなら、自殺に追い込まれるヤク中の女性について歌った”MY ANGEL VERONICA”、テロ以降のニューヨークへの思いを切なく語る”MIDNIGHT IN MANHATTAN”の2曲が素晴らしい出来だ。特に、政治的な意見を排し感情的に迫る後者などは、しんみりとさせられる。

トラック面では、やはりと言うか、BLOCKHEADが丁寧な仕事振りで唸らされる。前述の”MIDNIGHT IN MANHATTAN”でのエモーショナルなトラックはドープの一言。派手さはないが、素晴らしいリリック同様感情を揺さぶられる。意外にMAC LETHAL自身も良い仕事をしていて、フックのヴォーカルサンプルが耳に残る”A COOL BREEZE”やピアノ・ループが美しい”MY ANGEL VERONICA”など、まだ雑な面は否定しないが、なかなか。

前作”MOON THINKER EP”からは想像出来ないほど、メジャー感溢れるアルバムに仕上がっている。良い意味でポップになったというか…突出した曲がない事は今後の課題として残りそうだが、全体的にはキッチリとまとまっている。