MOLEMEN “RITUAL OF THE…”

シカゴを中心に活動する、MOLEMEN。HIS-PANIK、PNS、MIXX MASSACRE、MEMO、DJ PRESYCE等のDJプロデーサーを始め、PRIMEやVAKILLといったMCで構成される彼らは、地元シカゴのアーティスト以外でも、SOLEやRASCO等ともコラボレイションしている。これは昔の音源やリミックスを含む実質的なデビュー・アルバム。

アンダーグラウンド・オールスターと言った感じの面子が参加しているが、やはり、地元シカゴの面子が大半を占めている。その中では、VAKILLの”THE EQUINOX”が一押し。バトル・ライムでスキルを見せる。 勿論JUICEは相変わらずタイト。TYPICAL CATSのQWEL、RHYMEFEST、MASS HYSTERIA、MATLOCK、PRIME、皆ドープはドープなのだが、トピックが似たり寄ったりで今ひとつスッキリしない。単体で聴く分にはいいんだけど、これだけ続くと、ね。トラックにしても同じで、何とも歯切れ悪い感じ。特に、新旧シカゴの裏の顔EC ILLAとRUBBEROOMが競演した”TASTE OF CHICAGO”は、トラックが完全に負けている。RUBBEROOMって事で、やっぱOPUSと比べちゃうでしょ。

外部とのコラボでは、SLUG, AESOP ROCK, MF DOOMのヴィデオ・ゲームを題材にした”PUT YOUR QUARTER UP”がやはり素晴らしいが、”CHALLENGE ME”が個人的にアルバムのベスト・カット。ニューヨークの若手注目3MCによるマイク・リレー。個人的にC-RAYZ WALZは今、一番アルバムが聴きたいMCで、勿論ここでもくそドープ。彼のクルー、STRONGHOLDのアルバムも要チェック。SLUGの”HOW I WON THE WAR”は、まあまあなトラックにいつものスムーズなフロウで、違った側面を加えている。流石。”GAMES”ではBUCK 65とSIXTOOのデュオ、SEBUTONESが、妖しいトラック上で相変わらず憂鬱だ。「何故こんなに惨めなのか?」…..因みに、GRAND DADDY IUやPERCEE Pは顔見せ程度の出来。

彼らのトラックは、時にシンプルすぎて退屈なこともあるが、このアルバムでは多彩なMCを上手く配置して、最後までダレることなく聴かせることにある程度成功していると思う。要所要所のインタールードはドープ。MCとの曲でもこのクオリティを保ってれば、と思うと勿体無いが、無い物ねだりはヤメヤメ。何か新しいもの、ずば抜けた芸術性を求めるリスナーには物足りないと思うが、ポイントを押えたビートに、調子いいMC達 。とり合えず、水準以上ではある。