MURS “COMURSHUL”

今や伝説的なLOG CABINクルーとして、LIVING LEGENDS結成以前から活動を共にしてきたMURS、SCARUB、ELIGH。MURS名義のこのテープには、彼らの初期音源が収められている。当時からこれほどの高水準を誇っていたこうした音源が、もう少し多くの人間の耳に届いていれば、色んな意味でシーンは今とは違った形になっていたのではないか。

GYPSY SIDEは、その名の通りSCARUB、ELIGH、MURSによるユニットTHREE MELANCHOLY GYPSYSが収められている。 ベスト・トラック”SUNPRAYED”では、SCARUBが既に驚異のデリヴァリーを披露、MURSは若さを感じさせるフロウだが、強気なところは相変わらず。コンシャスなSCARUBとアグレッシヴなMURSの対比が面白い”DIRE STRAITS”、ELIGHが非凡な所を聴かせる”MELANCHOLY MANUSCRIPTS”でも、3人のとにかく早いフロウは圧巻だ。ビートも今よりラフでサンプル中心の音作りで、ドープ。

MARU SIDEに移って、へヴィーなビートがドープな”RED DOTS”でのイルなストーリーテリング、ポッセカット”SPEED BUMPS”での終盤のフリースタイルなどは正にMURSの本領発揮といった所。”VERSE ONE”も勿論タイト。

音質が悪い事は言うまでも無いが、そんな事は気にならない。このテープには彼らの原点が収められているし、何よりドープこの上ない。歴史の授業じゃないけど、過去があって今がある訳で、素通りは許されない。