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最強に凶暴なビートが、バトル・モードのMURSとAESOPをアグレッシヴに駆り立てる”2 REASONS”は、このアルバムがどれほどドープかを確信させる、究極のバトル・チューン。”4 THE RECORD”も同様にハードなバトル・ライム。MURSは何故これほど強気なのか?それは、彼が本物のスキルを持っている数少ないMCの一人だから。続くBASIKとのフリースタイル・セッション”BASIKMURS”はその一つの証明に過ぎない。音質の悪さも良い方向に作用していて、”M-3 (ANGER)”には、「ヒップホップはインドア・スポーツじゃない」というMURSの生の魅力がそのまま詰まっている。
“THE SAINT”や”MOROCCO MIKE”では、ストーリーテリングの才能も見せ付ける。特に後者の”MOROCCO MIKE”は、契約に翻弄されるMIKEという名のラッパーの物語で、ラストまで一気に聴かせる。ヒップホップの堕落を嘆く”THE JERRY MAGUIRE SONG”、高校を卒業してからの軌跡をたどる”NINE FIVE”の2曲も加え、MURSは自身のライム・スキルの多様性を披露している。
強烈なバトル・ライムから、フリースタイル・スキル、類稀なストーリーテ・リングの技術まで、真のMCには何が必要かは明確だ。一つの要素に長けているだけでは、耳の肥えたリスナーは納得しない。多様性が求められる訳だ。そして、MURSはその全てを備えたMCとして、このアルバムでそういった半端なMCとの違いをハッキリとさせた。必聴。