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今回のSAGE FRANCISは、切ないラブ・ソング”THE CURE”などの数曲を除いて冷静なまでの自己分析は鳴りを潜め、殆どの楽曲がヒップホップに間する意見で占められている。80年代後半から90年代前半のヒップホップに対する愛情や、現代のヒップホップが置かれる状況に対する危惧を、クラシック・ジャムからの直接的な引用を多用しつつ、SAGEらしい皮肉っぽい言い回しや捻くれたユーモアを盛り込んでライムする。ソロ・デビュー作”PERSONAL JOURNALS”では、実に冷静な客観的視点で自らを描き切ったSAGE、本作ではその矛先をヒップホップに向けた、といったところか。ヒップホップが純粋に楽しみであった時代の価値観を引き戻そうという願望の表れか、フックも合唱系が多いし、ソロ・アルバムよりも一般層にも受け入れられやすいであろう。
相棒JOE BEATSの方も、自らのソロ・アルバムで披露したようなムーディーな作風は封印し、アップテンポな”黄金期のヒップホップ・サウンド”の再現を試みているかのようなサウンドを聴かせてくれる。こちらもPUBLIC ENEMY、BIG DADDY KANE、X-CLANなどの声ネタをフックなどで多用。こういったスタイル自体、ある種の懐かしさを漂わせている。
SAGE FRANCISとJOE BEATS、それぞれのソロ・アルバムが自己との会話だったとすれば、この”HOPE”は他者とのコミュニケーションといった趣。閉鎖的で内省的という先入観を拭うように、どこかNATIVE TONGUE的なオープンな印象さえ感じさせる楽しいアルバムになった。