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ジャジーなピアノにベース・ラインが良い”TIME TO BUILD”は、大都会での人生についての考察。地下鉄を奴隷船に例えるところなどは、日本の状況にも共通していて、ドープだ。大都会は世界中同じ、といったところか。ベストは、DJ SPEAR 1200手掛けるトラックがとにかくドープな”FROSTBITTEN”。凍りついたニューヨークを俺が溶かしてみせるぜ、みたいなイルな比喩で自らのスキルを誇示してみせる。大都会の寒空が目に浮かぶような”FOUR CORNERS”は、OKTOBERからの人生のレッスンといった趣。”お前は前進せずに一箇所に留まったまま/だから態度を変える必要があるぜ”というリリックに併せてトラックが変化する辺りが素晴らしく、非凡さを感じさせる。刑務所の過酷さを強調する事で、ム所はクールといった誤った認識に釘をさす”CELL BLOCK”は、緊張感に溢れるトラックが雰囲気を盛り上げている。目新しいテーマではないものの、タイトにまとめている。
リリック的に最も面白かったのは、東洋の文化に捧げた”FAR EAST”だ。「ラップを教えるから禅を教えてくれ」なんて言われても困るが、一人のアジア人として興味深かった。「俺は行った事無いしこっちに来た事無い奴らもいるけど/テレパシーは海を越え/敵は無くなる」その通り。ライヴ/フリースタイル音源のなかでは、最早アーテストの登竜門となった感のあるBOBBITOのラジオ・ショウCM FAMALAMでのフリースタイルがドープだ。
トラック/ラップ共に全編に渡って、都会的な空気が充満したEPだ。しかしながら、どれもドープなのに強烈な何かに欠けているのも事実。リリカルスキルに問題は無いだけに、どれだけ独自性を出せるかが勝負だろう。ともあれ、安定した作品である。