OFFWHYTE “SQUINTS”

シカゴの注目インディ・レーベルGARAPAGOS 4の中心人物、OFFWHYTE。初めて彼の曲を聴いたのは、レーベルの顔見せ的コンピ、”BLACKBOOK SESSION”収録曲だった。その曲を聴いた時から、彼の特徴的な声、柔軟性に富んだデリヴァリーの虜になっていたので、このアルバムは無条件で全ての良識あるリスナーに推薦したい。

このアルバムの魅力は、ただただOFFWHYTEのラップ、それに尽きる。ダラダラしたヌメッと滑る様なデリヴァリーで、トラックの隙間を埋めていく。特に力の抜けるようなその語尾の言い放ち方は、しばらく耳から離れない。基本的には言葉を詰め込んでいくオフビート・スタイルなのだが、その響きは完全にオリジナル。まずは小品、”STATICLING”を聴いてもらいたい。ビートとベースのみの、わずか1分半ほどの曲なのだが、ここで彼が自分のヴォーカルをまるで楽器のように使ってトラックを彩る様を聴けば、何を言おうとしてるかが分かると思う。リリックには詩的、というかいわゆるアブストラクト。”GARAPAGOS FOUR”では自らのクルーについて、”NORTH TO BROADWAY”ではシカゴの街を描写する。

ビートも勿論ドープ。若干、首を傾げたくなる曲もあることはあるが、アルバムの出来を貶めるようなものではないと思う。前半のアブストラクトな流れから、後半に連続するメロディアスなピアノ・ネタまでヴァラエティに富んでいるが、統一感も失っていない。ベストはやはり、途中でループが変わる辺りが鳥肌のモノの”NITPICKER”に決まり。トラックを手掛けるOPEN Iは他の曲でもいいビートを提供していて、このアルバムの嬉しいボーナスになった。

こういったアルバムは、熱心にドープなモノを捜し求めるヒップホップ・ヘッズにとって、最高の褒美である。と同時に、ヒップホップの奥深さを改めて認識させてくれる。必聴。