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ジャジーでブルージーなサウンドを持ち味とする彼ら、目新しさは全くないがトラックのクオリティは総じて高く、このアルバム最大の聴き所。プロデュースはKPがほぼ全面的に手掛け、グループのサウンドを特徴付けている。”HOLD IT DOWN”や”KEEP IT MOVIN’”、フックの女性ヴォーカルが色を添える”STEP TO THIS”など、どれもドープだが、ベスト・カットは、ANDREY SILVAとERROL VIRAYなる男性ヴォーカル・デュオがKP作のスムースなギター・ループに命を吹き込む”TIGHTROPES”だろう。メジャー感溢れるソウルフルな逸品だ。一方、MOUNTAIN BROTHERSのCHOPSが手掛けた”BRAIN SURGERY”を始め、外部プロデューサーが提供したトラックはどれも水準以下といった出来で、KPが全曲担当した方がよりしまったアルバムになったと思う。
KPとMR. REXFORDのラップは、良くも悪くもオーソドックス。強烈なフロウや思わずのけぞるようなパンチラインなどは望めないが、トラックの空気感にマッチしていて悪くない。トピック的には、バトル・ライムやマイク・スキルを誇示するようなモノから、地元シカゴへのシャウト・アウト、ヴァイナル賛歌、ポジティヴなメッセージまで定番な内容が多く、どれも水準を越える出来ではない。
幾つかの駄曲が全体のバランスを崩してはいるが、タイトにまとまったデビュー・アルバムと言える。シーンでの存在感をアピール出来るほどのクオリティがあるかと問われればそれは疑問符がついてしまうものの、フックでのヴォーカリスト使いの上手さを含めたKPのプロデューサーとしての能力の高さは明らかで、今後に期待できるグループではあると思う。彼らの名前は、憶えておいて損はない。