PEOPLE UNDER THE STAIRS “QUESTION IN THE FORM OF AN ANSWER”

極めて素朴とも言えるヒップホップ賛歌ライムと、それを体現するサンプリング・サウンド。THES ONEとDOUBLE KのデュオPEOPLE UNDER THE STAIRSは、デビューアルバム”THE NEXT STEP”でそういったイメージを強烈に印象付けた。このセカンド・アルバムでも路線に変更がある訳もなく、極めて質の高いオーソドックスなヒップホップサウンドを鳴らし続けている。

THES ONEのサウンドは、勿論絶好調。イントロに続く”CRAZY LIVE”から、ライヴ感の強いドラムを始めとする有機的なプロダクションが全快。イケイケな”YOUTH EXPLOSION”は、これこそキラーチューンといった風格を備えていて、間違いなく彼らの代表曲の一つだろう。ドープの一言。ギターサウンドが心地良い”CODE CHECK”や”YEHAW PARTYSTYLES”、”JULY 3RD”などはTHES ONEプロダクションの真骨頂。”STAY HOME”でのホーン使いや、”EARTH TRAVELERS”でのこれまたスムースなギター、メロディアスな”THE CAT”、そしてジャズ濃度100%の”WE’LL BE THERE”も、リリック的には聴くべき所はないものの、THES ONEによる美しいプロダクションが存分に堪能できる。”43 LABELS I LIKE”では、THES ONEがジャズ/レアグルーヴ・レーベルを列挙、トラック・メイカーならではの視点だ。ドープ。

しかしながら、”BLOWIN’ WAX”や”GIVE LOVE A CHANCE”、”E BUSINESS”などの独創性の無いネタ使いを聴くにつれ、彼らの所謂”掘り師”としての限界を露呈しているように感じてしまった。先が見えていると言うか。定番ネタを使うなら、もっと上手いやり方があると思うのだが。

驚異的なプロダクションが聴ける曲もあるものの、いかんせん数曲の駄曲と退屈ですらあるライムが足を引っ張っていて、アルバムとしての完成度は前作には及ばない。元々サウンドが売りのグループだと感じていただけに、定番ブレイクはまだしも、既に使用されたネタをほぼそのまま使っている辺りに幻滅してしまった。次回作に期待したい。