PHAROAHE MONCH “INTERNAL AFFAIRS”

ニューヨークのクイーンズは多くのリリシストを輩出している。NAS、MOBB DEEPのPRODIGY、O.C.などなど、挙げたら切りがない。そんなリストの頂点に君臨するのが、ORGANIZED KONFUSIONだ。PHAROAHE MONCHとPRINCE POETRYが残した3枚のアルバムは、問答無用のクラシックとしてヒップホップ史に名を連ねている。そして、そのPHAROAHE MONCH。彼の凄まじいフロウとリリックは多くのMC達の指標となってきたが、このソロ・アルバムは、若干期待はずれだった。

DJ SCRATCH手掛けるホーンが鳴り響く”INTRO”、セルフ・プロデュースのダークな”BEHIND CLOSED DOORS”と、冒頭からMONCHの凄まじいフロウに圧倒されるばかり。一転してスムースな”QUEENS”は、悪の道へと足を踏み入れる若者の物語。再びダークな”RAPE”は、ワックMCをレイプ犯に例えて斬るという、独創的なバトル・ライム。ドープ!”NO MERCY”は正にスピーカーを吹っ飛ばす爆弾。ALCHEMISTによるストリングスもアクション映画的だし、M.O.P.は相変わらず圧倒的。”THE NEXT SHIT”も面白い。BUSTA RHYMESとの相性も良く、お互いが最高にフリーキーなフロウを披露。”THE ASS”と共にDIAMONDが良い仕事を聴かせる”THE LIGHT”は、MONCHがサビで歌まで披露するラヴ・ソング。何ともスウィート。ファン渇望のリユニオンとなった”GOD SEND”では、PRINCE POETRYのポエティックなライムが最高だ。MONCHにCOMMONとTALIB KWELIが加われば、外すはずもない。”THE TRUTH”は間違いなくアルバムのベスト・トラック。DIAMONDも最高のトラックを提供しているし….言う事ナシです。

ご存知ゴジラのテーマを使った”SIMON SAYS”、”OFFICIAL”、新旧リリシストの共演となったCANIBUSとの”HELL”は、MONCHにしてはアヴェレージな出来。フロア仕様の”RIGHT HERE”は充分タイトだが、オールスター・キャストとなった”SIMON SAYS REMIX”は不必要だったように思う。

このアルバムに対する評価は、見方によって大分差が出ると思う。一般的な基準で見ればドープなアルバムだが、PHAROAHE MONCHにしては少し物足りない完成度だ。個人的には、物足りなかった。なんと言っても、あのPHAROAHE MONCHなのだから。