PRIME “THE CLEANSING”

PRIMEは、MOLEMEN周辺で活動するMC。タイトなバトル/フリースタイル・スキルで知られる彼だが、そうした評価を得たMCにとっての最大の課題は、単なる”フリースタイルMC”として以上の評価を確立する事にある。この自主アルバムで、彼はそれに成功しているだろうか?

このアルバムでPRIMEは、新しい側面を見せることにはそれ程積極的ではないようで、所謂バトル・ライムが大半を占めている。”BETTER THAN YOU”、BIGGIEのクラシックをリメイクした”10 BATTLE COMMANDMENTS”、”REMEMBER THE NAME”、”RUNNING YOUR LIP”などだが、こうした作品にありがちな、”タイトだが面白さに欠ける”典型となってしまっている。とはいえ、変わり種もあって、VERBALとPRISMがPRIMEを貶しまくる”THE BEHIND SCENES”は最高だ。散々悪口を吐いた後、PRIMEがスタジオに現れた後の会話が面白い。「ヨオ、どうした?」「別に。もう帰るトコだよ」

コンセプチュアルな”LIFE SUCKS”の様な曲があと数曲あれば、大分印象も違っただろうが、ポッセカットはどれも良い。RISE、C RAYZらとの”ALL ANGELS”はミックスのラフさも手伝ってか、魅力的なライヴ感に溢れているし、シカゴ勢との”IRONY”、”FACE THE MUSIC 2001″もナカナカだ。

結局、レコーディング・アーティストとしての可能性はあまり感じなかった、というのが正直な感想。MOLEMENの面々によるシンプルなビートは、彼のスタイルに良くマッチしているが、それ以上でもそれ以下でもない。確かに、トラックは粒揃いだし、PRIME自身も高いスキルと魅力的な声を持っているが、残念ながら、このアルバムをプレイヤーにセットする機会はあまり多くなさそうだ。ただ、あくまでデモ・レベルのCDRである事を考慮に入れて、次回作に期待したい。