PROLITEARIOTS “BLUE COLLAR BLUES”

JOHNNY TSUNAMI、NOCTURNE、WHIMBLY SMALLFRY、そしてNOAH23を配するカナダはPLAGUE LANGUAGEクルーからSTAPLEMOUTHを加えたPROLITEARIOTSのこの”BLUE COLLAR BLUES”は、米ベイエリアのANONYMOUS INC.からCESCHIまでをフィーチャーしたハワイ産アルバム。

PROLITEARIOTSとも関わりの深いPLAGUE LANGUAGEクルーの作品にも共通して言える事だが、最大の聴き所はプロダクション。レゲエからニューウェイブまで様々な音楽の影響が色濃いヴァラエティに富んだトラックは、所謂ブーン・バップ・トラックだけがヒップホップではない事を再確認させてくれる。生々しいまでのドラムは貧弱な録音環境の産物だろう、ヒップホップ・プロダクションのプリミティヴな魅力に溢れている。こうしたプロダクションにヴォーカルを乗せるなら、やはり強烈な個性や押しが必要になってくると思うのだが…。インスト・アルバムが聴きたくなった。

4人のラップには、ANTICONからの影響が色濃く出ている。ALIASとDOSE ONEのハイブリッドにWHYを掛け合わせたような4人のライム・スタイルは、スキルフルではあるがオリジナリティに欠けているし、各々が集団の中に埋没してしまっている。政治的な側面も垣間見える彼らのポエティックなリリックは独自性があると言えるかもしれないが、内容に関係なく説得力を持たせるだけのラップ力は彼らにはない。それが逆に、トラックを際立たせていたりもする訳だが。

なんにせよ、充実したアルバムだ。得体の知れなさも含めて、魅力的な連中である。