PROPHETIX “HIGH RISK”

MCのEDDIE MEEKSとMELLO MELANIN、プロダクション担当のJON DOEで構成されるアトランタのグループ、PROPHETIX。MF GRIMMやCOUNT BASS Dなど、良質のリリースを続けるDAY BY DAYからのデビュー・アルバム。

グループの骨格を成すのは、JON DOEのソウルフルなトラック。80年代のフュージョンっぽいネタを多用した彼のトラックは、暖かみに溢れていて、何とも心地良い。”GRAVITATIN’”や”IMPRESSIVE PRESENTATIONALS”なんかはその典型、ノスタルジックなストリングスが良い”HIGH RISK!”などでは、幅広いタイプのトラックを作れる事を証明している。広がりに欠けていたり、ドラムの打ち込みが雑だったりと不満もあるが、実にセンスのあるトラックを作るプロデューサーだ。MF DOOMが唯一手掛けた”SUMPTHIN’S GOTTA GIVE”は、流石の貫禄でアルバムのハイライトを演出している。

EDDIE MEEKSとMELLO MELANINのラップは、予想外の何かは期待できない極めてオーソドックスなモノだが、トラックの空気に良くマッチしている。ヒップホップに対する愛情だったり、金についてだったり、女ネタだったり、トピック的にあまり面白味はないが、2人のコンビネーションと跳ねたフロウはナカナカ聴かせてくれる。太めの声質をしたEDDIE MEEKSが特に良いかな。

リリックやプロダクション、そして所々に顔を出すJON DOEの擦りにも、彼らの只ならぬヒップホップへの愛情が滲み出ている。90年代前半のプロダクションをお手本としながら、それだけに終わらない魅力のあるグループになるポテンシャルを秘めている。