オムニバス “SELF SCIENTIFIC PRESENTS… THE WORKS (1997-2002)”

CHACE INFINITEとDJ KHALILのデュオSELF SCIENTIFICのレーベルS.O.L. MUSIC WORKSの音源を集めたコンピレーション・アルバム。初CD化となる曲を中心に、3曲の未発表曲も収録。レーベルコンピと見るのが正解なのだろうが、個人的にはお気に入りのプロデューサーでもあるDJ KHALILの作品集として聴いてみた。

そのDJ KHALILのプロダクションだが、やはり素晴らしい。独特の艶のあるサウンドと硬質なビートは、強烈な独創性などは感じないが、最高にスムースなグルーヴを作り出している。あまり注目されていないDJ KHALILだが、年末にはSELF SCIENTIFICのセカンドも出る事だし、ソロ・アルバムでも出して存在をアピールしてもらいたいものだ。MCを立てつつ自らも自己主張できるDJ KHALILには、様々なタイプのMCとコラボレーションしてもらいたい。とにかく、最も過小評価されているプロデューサーの一人だろう。新しい曲ほど完成度が高いのも、彼が地味ながら成長を続けている事の証明、と言ったら言い過ぎだろうか。それほど、2002年の音源となる”ONE”と”SUBTERRANEAN”は素晴らしい。

MC陣では、相棒CHACE INFINITEとの相性の良さは言うまでもないが、個人的に前から思っていた事だが、荒々しく奇妙な声のKRONDONとスムースな自己流を突き通すDJ KHALILのトラックとのせめぎ合いがやはり面白い。CHACE INFINITEやLAO FAIと言ったオーソドックスなスタイルを持つMCは”合っている”感じだが、KRONDONはトラックとの微妙なミスマッチが面白い結果に繋がっている。と言うわけで、KRONDONとCHSCE INFINITEが組んだTHE KORSICAN BROTHERSが最もバランスが取れている。アルバムを期待したい。

言ってしまえば曲の寄せ集めであるから、アルバムとして曲順がどうこうとか言うのはお門違い。単純に、ドープな曲が揃っている。これらのアナログを買い逃しているなら、無条件で買いの一枚。