THEM BADD APPLES “THEM BADD APPLES”

イリノイ州シカゴ周辺で活動するTHEM BADD APPLESは、MCであるSARKAZM、CONCEPT、NEUROLOGIC、VERTABREAKER、STRIK9、FALLOPION SCORPIONに、トラック・メイカーのMAKERとDJ SPRYTE ONEを加えたクルーである。基本的にダークで、皮肉っぽく自虐的というか…とにかく、シカゴの層の厚さには驚かされる。

1曲目、悲しげなギター・ループに、ラフな走るドラムがドープな”EGO FEST”がこのアルバムの空気を物語る。続くポッセ・カット”SECOND NATURE”は、それぞれのMCによる声明文。ベスト・トラックは、サビの女性ヴォーカル・サンプルがとにかくドープな”CHARADES”。所謂バックパックMCを皮肉った曲で、ニヤッとさせられる。SRKAZMによる「ATMOSPHEREの曲が出るたびにスタイルが変わる/…/ライム歴1年、BIG DADDY KANEが誰かも知らない」辺りが気に入った。ラストのスクラッチもいいスパイスになっている。”WATER HEADS”では、STRIK9の皮肉の効いたヴァ-スが面白い。自分を「海嫌いのライフガード/../肉好きのヴェジタリアン/../冗談の通じないコメディアン」などと言っている。男女関係を歌った”CONFUSED SINCE THEN”もドープだし、ラストの”DIALOGUE”も締めくくりに相応しい感じ。MCでは、甲高い声で神経を逆なでするVERTABREAKERと野太い声のSARKAZMの2人は要チェック。

トラックはある意味中世的というか、宗教的というか、ピアノに弦楽器中心の不気味なループに、ラフなドラム。突出したトラックは特にないが、全体的に粒揃いだ。

非常にオリジナリティー溢れるアルバムではあるが、幾つかの弱いトラックが気になった。他にない雰囲気を持ったグループだけに、そこだけは勿体無い。これからが非常に楽しみなグループだ。あと、VERTABREAKERとMAKERによるユニット、COSTUMEもチェック。