YOUNG JOSEPH “SUMMER FLING”

サン・ホゼに陣取るHIGHGROUDから、WESTCOAST WORK FORCEのJOE DUBSことYOUNG JOSEPH。WORK FORCEを始めとするベイエリア周辺のアーティストは、伝統的なウェストコースト・ファンクを継承しながら、粘っこい独自のサウンドを聴かせてくれる。音質の劣悪な4トラックモノの多い彼らにしては、珍しくプロフェッショナル・リリースとなったこの”SUMMER FLING”は、入門用には最適の内容になっている。

味わい深いデリヴァリーを聴かせるYOUNG JOSEPHは、乾いたファンクサウンドと抜群の相性だ。イントロでは軽く仲間達に会釈。自信満々に言葉を吐く”STRAIGHT OUT THE GATE”、DEESKEEが最高の仕事を披露する”COPYWRITE 2000″と、好調な出だし。前半の個人的なハイライトは、スムースなトラックでナイトライフ・ストーリーを語る”NIGHT TONIGHT”かな。フックのフルートも心地良い。ジャジーなギターが気持ち良い”SEARCHING FOR SOMETHING MORE”も捨てがたい。後半に入っても、テンションは下がらない。真面目に家族の絆についてライムする”FAMILY MAN”がまずは良いが、DEESKEEがここでも夜のベイ・エリアの風景が目に浮かぶ最高のトラックを提供した”GRAVEYARD SHIFT”が後半のハイライト。ドープ!自身のヒストリーを語る”JAMES WORTHY”、80年代ポップスな”PEEL THAT HOE”や”MY BAD”など、聴き所は満載。トラック面では、DEESKEEが健闘している。

ゲストは今回も、ある意味豪華。ロックな”GETTING BY”はラップとの噛み合せが今ひとつだが、シンプルな”SUCTION”はTOMMY VとLIFE REXALLの印象的なパフォーマンスも手伝ってドープな仕上がりに。とはいえ、グルーヴィーな”SUMMER FLING (REMIX)”がベストかな。

常に高品質な作品をリリースしてきた彼だが、音質の悪いテープ・アルバムだった事が災いして、知る人ぞ知る存在に留まってしまっている。今回、初のプロフェッショナルなリリースという事で音質もバッチリだし、内容の方も期待どおり。リスナーにとっては、WORK FORCEやHIGHGROUNDのアーティストの入り口として機能しそうなアルバムだ。