典型的な西海岸ビート、ロートーン・ヴォイスで歌い上げるAB RUDE。これまでに築かれてきたフォーミュラはしっかりと守られている。レイドバックしたヴァカンス・ソング”COOLIN’”、ツアー名をそのまま曲名にしたポッセ・カット”FLOW & TELL” のような肩の力の抜けた曲を中心に、ネガティヴな要素も多いが人生を楽しめと諭す”BEFORE WE GONE”などを間に挟んで、ワールド・ツアーでの経験をライムに織り込みつつ、更に厚みを増したメッセージを巧みに、かつ心地良く聴かせきる辺り、確かな成長を感じさせる。とにかくドープ！
当たり外れの激しいFAT JACKも、AB RUDEとの仕事では百発百中。2人の間には特別な化学反応がある事を再確認させられる。”STAND & DELIVER”、”ALL DAY”、”SHOWTYME IZ NOW (SKIT)”、”SHE’S ALWAYS HOME”、”SPREAD MY WINGS”、どの曲も完璧、文句の付けようのない出来。DADDY KEVが久しぶりに地上に上がってきた”FLOW & TELL”も最高だ。
このレビューを読んでいる方々は、このアルバムが刺激を求めて聴く類の音楽でない事は百も承知だろうと思う。確かな技術と豊かな経験に少しばかしのユーモアを加えた、AB RUDEならではのゆとりある音世界。貫禄だ。
