ABSTRACT TRIBE UNIQUE “MOOD PIECES”

ABSTRACT RUDEの魅力とは何だろうか?意識の高いポジティヴなリリックもそうだが、やはり音楽としての魅力、特徴的な低い声で歌うようなデリヴァリー。徹底的にソウルフルである。今作は、そんな彼のスタイルを前作以上に活かした、最高の完成度を誇るアルバムになった。

とにかく、まず”BLAST OFF INTO INFINITY”を聴いてみて欲しい。使い古されたネタを、ココまで新鮮に聴かせるのは容易な事ではない。そのスムースなグルーヴにただ酔いしれるばかり。テレビの言いなりになるな、と説く”SWITCH THE STATION”、車にまつわるストレスをライムした”ROLLING IN MY CAR”は、アルバム中、最もタイトなドラムを聴かせてくれる。とろける程スウィートな”RAPCHA”は、ただただソウルフルなAB RUDEのヴォーカルスタイルの真骨頂。ドープ!

2つのインタールードを挟んでアルバム後半の幕を開けるのは、キーボードが気持ち良すぎる”LEFT HAND SIDE”。サックスも効果的だ。ダークでアグレッシヴな”MY EXPERIENCE IS…”、シンプルなビートがライムを際立たせる、自らの宗教観を語った”CONTRADICTSHUN”、ギターがドープな”INSIDE YOUR EYES”では、10代の妊娠、失業、ストリートクライムなどの問題を抱えた家族の物語を、シンプルに語る。女性ヴォーカルも良い感じだ。”TORN”では、モラルがあらゆる所で失われつつある事を嘆いている。

AB RUDEの唯一無二のオリジナリティー、FAT JACKのソウルフルでジャジーなトラック。懐かしい雰囲気を漂わせながらも、古臭いのではなく新鮮な魅力に満ち溢れている。何にせよ、”良い音楽”がココにある。必聴!