ABSTRACT TRIBE UNIQUE “SOUTH CENTRAL THYNK TAYNK”

LAアンダーグラウンド・シーンでの、短くない活動を経て発表されたこのアルバム。彼の声からは、そのキャリアに裏打ちされた自信が嗅ぎ取れる。FREESTYLE FELLOWSHIPなどと数多くのライブを経験してきただけあって、その実力は本物だ。

まず、とにかくドープなイントロに続いての、軽快な”HITS LIKE HANK”は往年のウェストコースト・ファンクの香り漂うトラックだが、続く”RENAISSANCE”のスムースなヴァイヴ心地よいこういった曲の方が、AB RUDEのヴォーカル・スタイルには合うと思う。”L.A. STYLE BACK”では、スタイルをまねる連中への辛辣な一曲。オリジネイターとしての貫禄を聴かせる。ギターがドープな”MASS MEN BABY”を挟んで、女ネタながら一風変わったストーリー物”NO REGRETS”ではストーリー・テラーとしての彼のスキルの高さが聴けるし、”FRONT ROW”では家族の大切さをライム、ポジティヴなメッセージで違った側面を見せている。日本に何か思い入れでもあるのか、サッカーMCモノ”SHOWGUN”はタイトルそのままだし、完全に歌っているレイドバックした”JUST LIKE AKIRA”では”アキラみたいに未来がはっきり見える”なんて言ってる。”WHY OH WHY?”では、ストリート・クライムの行く末をライム。ポジティヴな面とストーリーテラーとしての高いスキルが、一曲の中に凝縮されている。

全体的に小粒な曲が多いが、AB RUDEの強烈な存在感は凄い。完全にオリジナルなスタイルと忘れがたい声の魅力。FAT JACKとの相性も完璧といえる。アルバムに充満するポジティヴでリラックスした雰囲気が何とも心地よい。