ACTS:29 “UNDER EXPOSED”

アルバム”LIFE FIRST”で知られるBRAILLEが、旧友OHMEGA WATTS、SOUL PLASMAと組んだACTS : 29。その”LIFE FIRST”でも明らかだったように、彼らは敬虔なクリスチャン。このアルバムでも、そういった背景から生まれる意識の高いリリックを聴かせてくれる。

OHMEGA WATTSのプロダクション・スキルが光る”SEE CLEAR”で自己紹介を終えた後は、再びOHMEGAによるキーボード使いがドープな”BLANK MINDS”ではモラルの欠如を嘆くポジティヴなライム。SOUL PLASMAのソロ”SP 2001″は、BRAILLEのプロデュース。引き続きBRAILLEがプロダクションを担当した”SWEET TOOTH”には女性ヴォーカルをサビにフィーチャー、団結を歌うリリックと相まって何ともポジティヴだ。”変化は一夜では成し得ない”とライムする”OVERNIGHT”のスムースなヴァイヴも心地良い。そのスムースさは、ラブソング”DEJA VU”で更に磨きが掛かっていて、何ともソウルフル。そして、より透明感を増すトラックは、美しすぎる”STATEMENT”や”FAMILY LIFE”において頂点を迎えていて、それらのトラックを手掛けたOHMEGA WATTSのプロダクション・スキルの高さは彼ら最大の強みとなって、今後も我々の耳を楽しませてくれるだろう。

一つ気になったのは、BRAILLEの声質を含めたデリヴァリーだ。特にソロ曲”COME ON”では、徐々に壮大さを増してゆくトラックと比べて、BRAILLEのライム・フロウは少し重厚さにかけるため、トラックとラップが噛み合っていない感が強く、勿体無い限り。

とはいえ、トラックには良いモノが揃っているし、全体的に良いアルバムだ。宗教的なコンシャス・ライムも悪くないが、非常に大人な雰囲気を漂うジャジーでソウルフルなプロダクションが最大の聴き所であることは間違いない。OHMEGA WATTSには注目しておいた方が良いよ。