ATMOSPHERE “SAD CLOWN BAD DUB 2″

このアルバムは、ツアー会場のみで売られたモノ。完全にSLUGとANTの2人のみで作られており、本当の意味で混じり気のないATMOSPHEREのアルバムと言えると思うが…とにかく、現在最高のMCの1人であるSLUGの作品が、一つでも多く聴けるのは嬉しい限りだ。

ファンキーだがどこか悲しげなギター・ループの”SAD CLOWN”は、ピエロの悲しい物語。SLUGは、自分をこのピエロに重ねているように聞こえるのだが….ドープ。元カノへの淡い思いを歌った”BODY PILLOW”、太陽が目に浮かぶほど爽やかな”THE PILL”、ブルージーな”FASHION MAGAZINE”は、ファッション雑誌に現実逃避する女の物語。夏っぽい”THE WIND”、「退屈したら宗教でも始めようかな」なんて言ってる”HUNGRY FUCK”、サビの女性ヴォーカル・サンプルがドープな”THE OCEAN”は、しかし、名コンピ”COAST 2 COAST”収録のTHE OPUSヴァージョンを聴いた後では、少々物足りないのが正直な所。女の事を歌った哀愁漂うライムはドープだが、OPUSヴァージョンの方がより深い世界観をライムに与えてると思う。

アップ・テンポな”WHEN IT BREAKS”は、オールドスクール風というより、ただ古臭いだけで、基本的にANTは、早いトラックは得意でないと思う。アルバム中好きでないのはこの曲だけだ。自己探求といった感じ(「今まで泣いてきた事を笑わずにいられない/自分自身を中から見つめてたら」)の”INSIDE OUTSIDE”、”THE RIVER”では、死んだ友人ブライアンについてシミジミとライム。ドープの一言。

全体的に、”OVERCAST!”と比べても遜色のない素晴らしい出来。ANTのトラックも、特筆すべき点は何もないがリリックの空気感にマッチしていて、問題は無い。それにしても、SLUGはホントにいいね!!