オムニバス “ANTICON - GIGA SINGLES”

ANTICONの、レーベル・コンピ第2弾。

まず、ベスト・トラックはなんと言っても、SAGE FRANCISの”INHERITED SCARS”だ。DJ MAYONNAISEによるホーン・ループがドープなトラックもそうだが、やはり主役はSAGE。柔軟なデリヴァリーにエモーショナルなライム。とにかくドープで、この一曲のためだけにも、このアルバムを買う価値はある。次は、SOLE、DOSEにALIASというANTICONの顔が集った”WE AIN’T FESSIN”。彼ららしからぬ爽やか(!)なトラックで、特にDOSEがその歌うようなスタイルを最高の形で聴かせてくれる。DOSEの「ヒップホップ・ミュージックなんだぜ/痺れさせてくれよ」という一節に全てがある。THEM改めTHEMSELVESの、やたらとマッドな”MY WAY OUT OF A PAPER BAG”は、DOSEの独壇場だ。後半のエスニックな展開も含め、病んでいる。ALIASの”WATCHING WATER”も、タイトなドラム・ブレイクに美しいピアノがドープ。深すぎる。BUCK 65は”PEN THIEF”は、彼の水準レベルだが、SIXTOOの”GRIMEY INKS THE MOMENT”は、ドープ。ドラムが跳ねまくっている。

DOSEの変態的な要素だけを培養したようなスタイルのWHY?とPEDESTRIANによるOBJECT BEINGSの”ATTACK OF THE POST MODERN PAT BOONES!”は、とにかく人をナメたようなヴォーカル・スタイルがドープだ。WHY?のソロ”YOU’LL KNOW WHERE YOUR PLAIN IS…”もそうだが、最も好き嫌いが分かれるスタイルだろう。個人的には嫌いじゃないが、今後どれだけ幅を見せれるかが鍵だろう。SOLEの”SILENCE”、BUCK 65、SIXTOOに続きカナダからANTICONに加わったJOSH MARTINEZの”OUTLOOK”の2曲は”アルバム中の一曲”と言った感じで、しっくりこない。

前作と比べると、全体の質が落ちているのは否めない。特に、後半にかけてだいぶテンションが落ちてくる。いい曲も当然あるものの小粒な曲が大半を占め、それらがこのアルバムの印象を薄めてしまっている。まあ、ANTICONらしいといえばらしいが….よく分かりません。