RUSTY P’S “OUT OF MANY”

あまりヒップホップでは馴染みのないウィスコンシン州ミルウォーキーから、RUSTY PELICANSなる4人組が登場。

トラック・リストを目にした時、まず気になるのはやはり”TREAD WATER”と”ALL I HAVE”の2曲だろう。THE PHARCYDEからIMANIが参加した”TREAD WATER”は、ダークなベースラインが良い感じ。IMANIは、他の3MCに完全に溶け込んでいて面白い。ABILITIESのスクラッチから入る”ALL I HAVE”は、アルバムのベスト・カット。へヴィーなドラムにうねるベース、ホーンヒット。70年代のテレビドラマっぽいホーンは、フック代わり。当然というべきか、SLUGが口を開くと、曲のムードは決まってしまう。貫禄だ。

極めてオーソドックスなパーティー・チューン”ON & ON”を始めとして、ジャジーなギター・ループが心地良い”PIECE OF MIND”、ホーンがやたらファンキーな女ネタ”S.O.S.”と、出だしは好調だ。中盤の、ハードかつファンキーな”BOOMERANG EFFECT”や”ON THE MIC”では、彼らの持ち味であるオールドスクールの匂いがプンプンと漂ってくる。特にフック!ダビーな”INTERLUDE”以降の後半は、同様の空気を放つポジティヴな”OUT OF MANY”、アップテンポな”A WAY WITH WORDS”、タイトル通りのんびりいけよ、と促すレイドバックしたラストの”SLOW BURN”まで、ダークだがファンキーという独特の雰囲気が貫かれている。

IMANIが参加しているからという訳ではないが、RUSTY P’Sは複数MCとして、PHARCYDEやJURASSIC 5に近い空気を持っている。昔ながらの掛け合いが、パーティー・チューンにおいてもダークさを欠かさないトラックと、絶妙に混ざり合う。ライヴが見てみたいグループだ。