オムニバス “PROJECT BLOWED”

L.A.シーン全体に、凄まじいまでの影響力を誇るPROJECT BLOWEDの面々。彼らがいなかったら、シーンそのものが今とは全く違った形になっていたと断言できるだろう。では彼らは、何故そこまでの存在になりえたのか?その答えがココにある。実際ドコまでがファミリーなのかは、自分自身はっきり知らないのだが、思いつく限り名を挙げてみると、ABSTRACT RUDE、MEDUSA、FATJACK、AWOL ONE、2MEX、ST. MARK、DJ D、BUSDRIVER、TREND、DJ SLIP、ACEYALONE、SELF JUPITER、PEACE、MAIKAH 9、CHILLIN VILLAIN EMPIRE、RIFLEMAN、NGA FISH、GANJA K、VIRTUE、MASSIVE、PHOENIX ORION、DK TOON辺りだろうか。取り敢えず、凄い面子だ。

オープニングのハイパーな”JURASSIK”から、アルバムのテンションは下がる事はない。アカペラながら抜群の存在感を残すC.V.E.の”WHAT A PITY”は、彼らのスキルを示すほんの一例に過ぎない。ジャジーな生演奏に合わせてスキャットを聴かせるFREESTYLE FELLOWSHIPの”HOT”でも4MCによる類稀なヴォーカル・パフォーマンスが聴けるし、C.V.E.にELLAY KHULEが加わった”NARCOLEPSY”でのマシンガン・フロウも凄まじい。DK TOONは、メロディアスなフロウの最高峰をスティービー・ワンダーのカバー”SOLO IS SO LOW”で披露している。TRAY LOCの所謂プレイヤーモノ”ONCE A FREAK”は、使い古されたネタに新たな一面を加える事に成功しているし、FIGURES OF SPEECHのプロ・ブラックな”DON’T GET IT TWISTED”もドープ。聴き所だらけのアルバムではあるが、ハイライトはやはり、ポッセカット”HEAVYWEIGHTS ROUND 2″だろう。次々と登場するスキルフルなMC達の、最高のパフォーマンス。野郎どもに交じって女性MCも頑張っているが、ラストの2人MIKAH 9とVOLUME 10のフロウが凄まじい。彼らのライヴパフォーマンスの凄まじさが伝わってくるクラシックだ。

最も登場回数の多いABSTRACT RUDEとACEYALONE。 ABSTRACT RUDEの”STRENGTH OF A.T.U.”は、時代の先を見越していたかの様なバウンス・チューン。ABSTRACT RUDE、ACEYALONE、RIDDLERの”I DON’T KNOW”にABSTRACT RUDE”YEAH MAN”、オールドスクールなファンク・トラック”TREBLE & BASS”、ACEYALONE”I THINK ?”と、どれも素晴らしいの一言だが、9分近い”MASKARAID PART 1 & 2″こそ、2人の真骨頂が聴けるマスターピース。

とにかく、濃厚なパフォーマンスの数々に圧倒されっぱなしだ。ひたすら押し捲る64分。10年程前からこれだけクリエイティヴィテ溢れる作品を残しているのだから、彼らがどれだけ後継者達に影響を与えたかは、想像に難くない。基本。