TAME ONE “WHEN RAPPERS ATTACK”

ARTIFACTSが解散した詳しい理由は知らないし、興味も無い。2人のソロ・アルバムが出揃った今、方向性の違いは明確になった。TAME ONEのソロ・デビューとなるこの”WHEN RAPPERS ATTACK”は、初夏の心地良いそよ風のようなEL DA SENSEIのアルバムの対極にある。まあ、EASTERN CONFERENCEからのリリースって事で、大体の察しは付いてたけど。

ワックMCを踏み潰す余裕のフリースタイリン、タフなヴォーカル・プレゼンス。本当に、素っ気無いまでのシンプルさで、ここまでヒネリが無いと逆に新鮮だ。タイトなパンチラインにニヤニヤしつつ、この舌足らずなデリヴァリーにノってしまう訳だ。”LEAK SMOKE”ではCAGEと一緒にヤクでフラフラ。グラフィティ・アーテストに捧げた”HOMAGE TO THE BOMBERZ”でアルバムを締めくくる辺りも、彼らしい。

J-ZONEのプロダクションとナスティなMCの相性の良さは別格。TAME ONEの新たなテーマ曲”TAME AS IT EVER WAS”は勿論だが、2分に満たない小品”SLICK TALKIN’”の変なループはしばらく耳からこびり付いて離れない。現在、最もクリエイティヴなプロデーサーの一人だろう、ただただ素晴らしい。シンプルな典型的東海岸サウンドが大半を占める中、より音楽的なアプローチを聴かせるJ. DANGEROUSなる人物の手掛けた”CONCERTO”と”IZ IT ME”も印象深かった。

もっと幅広いトピックを聴きたかったし、既発曲が複数あるのも不満だが、40分丁度という短い収録時間も手伝って、通して飽きさせないアルバム。これだけ対極のアルバムを作ったEL DA SENSEIとTAME ONE、久しぶりにARTIFACTSとしてやってくれないかね?