WHY?, ODD NOSDAM “SPLIT EP”

ANTICONの変態部門代表、WHY?とODD NOSDAMのスプリットEPだ。とりあえず、ANTICONが嫌いな人が、その理由の筆頭に上げるのがWHY?の存在だと思う。DOSEはまだ、MCとしての基本を踏まえた上で思いっきりそこからはみ出した感があるが、WHY?に関しては、その基本そのものが全く無いように感じられる。本人にもラッパーという自覚は無いのでは。個人的には、O.D.B.的な存在として見ていて、それほど”アヴァンギャルド”だとは思ってないのだが。トラックメイカーODD NOSDAMは、変な子供用のレコードとか映画やドラマ、CMソングまでをサンプルして独特の病んだ世界を作り出している。とにかくタイトなドラムブレイクの数々に彼の根っこが垣間見れると思う。ヒップホップはドラムが基本です。

まず、1曲目から7曲目までがWHY?の担当。ズブズブのトラック上で何とも言えないハーモニーを聴かせる”TRACK 3″が駄目な人は、ANTICONのコンピ”GIGA SINGLE”に収録済みの”TRACK 4″、一昔前のガレージロックみたいな”TRACK 6″、無意味に爽やかな”TRACK 7″まで、トコトン駄目だろう。GRAND ROYAL辺りが好きな人には、以外にツボっぽいが。

8曲目からは、ODD NOSDAMの出番。とにかく、あらゆる音源が登場する彼のトラックには、素直に興奮させられる。どれも2分に満たないスキット集のような感じだが、もっと聴きたくなる不思議な魅力に溢れている。cLOUDDEADのアルバムでの素晴らしい仕事振りも記憶に新しい。古典ホラー映画のサントラのような”TRACK 10″、とにかくホーン・ループがファンキーな”TRACK 11″、MR DIBBSがシンプルなギター・ループ・トラックの上に音を重ねてゆく”TRACK 12″、cLOUDDEADっぽい”TRACK 14″。タイトなドラム・ブレイクの上で繰り広げられるコラージュ。爽やかなのかドロドロなのか、とにかく悪夢のような世界が繰り広げられる。例えるなら、モンティ・パイソンでのテリー・ギリアムのアニメを思い出して欲しい。あんな感じだ。

多くのANTICON作品同様、これも好き嫌いがはっきり分かれる作品だろう。だが、どうこう言う前にとりあえず聴いてみて判断して欲しい。聞かず嫌いは体によくない。